コピーライターの独り言 [思い出・雑感]
ここしばらく仕事が忙しくて、全くブログも更新できない日が続いた。どういうわけだか私の場合、連休前から忙しくなる。これは、普段売れっ子のコピーライターはきっちり休みを取って、いつも暇な私に（売れっ子の方に断られて）仕事が回ってくるのかもしれない。
ところで、私がコピーライターになった頃は、どういうわけだかこの道に入ってしまった、という先輩たちが多かった。そもそもコピーライターなんて仕事はみんな知らなかった。死んだうちのお袋に、新聞広告を見せて、「これは俺が書いたんだ」と言ったら、「活字みたいに上手く書けている」とほめられた…。しかし、最近のコピーライターは相当な学歴を持った方々がほとんどである。確かに私の若い頃にも有名大学出身の方々も、もちろん多数いた。とはいえ、東大卒とかは滅多にいなかった。以前は、インテリ崩れっぽい人が多かった。今は、本物の筋金入りのインテリが多いような気がする。
実はコピーライターという仕事をしている人たちは、言葉をうまく見つけてくることが得意な人と、頭の良さを武器に自在に言葉を操る人とに大別できる。漢字の読めない人、けっこういたりします。本もあまり読んでいない人だってかなりいます。「考えオチ」的なコピーは、こういう人は書かない。（書けない…）でも、気持ちを言葉にすることは上手い。これは理屈ではない。ただ、おもしろいことに理屈で書いたコピーは、これまた「考えオチ」的で説得力がある。
で、今日は何が言いたいか、というと「支持される」を考える、である。世の中、あまりレベルの高い？話をしたってダメだってこと。仮に家を建てるにしても、ほとんどの人はハウスメーカー、ないしは建て売り住宅、が選択肢。建築家と家を建てるなんて、面倒なことはしたくない。自分にとっていい家とは何か、を考えることより、いかに面倒を省くかが「支持」を得るわけである。広告もそれに近い。あまり高度なレトリックを用いても「支持」を、されなければスポンサーとしては制作者をなかなか評価しない。
これはすり替えをいかにスムーズに、馬脚を現さないようにするか、ということにもつながる。極論を（あえて）するなら、広告はぜーんぶギミックである。そして、いかに精巧なトリックを仕掛けてギミックを正当化するか。これである。しかしながら、それは消費者も百も承知である。わざと騙される悦びも快楽の一部なのである。これが「支持」という結果になるわけだ。けれども広告の救いは、消費者が自分自身で判断を下せる、ということなのだ。例えば建築物であれば、否応なしにそこに存在してしまう。もう個人では排除は不可能である。広告は違う。排除、すなわち買わなければ、行かなければ、好感を持たなければ、いい。
制作者の立場から、あまりに次元の低い不動産広告や、ナンセンスきわまりない広告を糾弾することはあり得る。しかし、それでさえも見事にできれば天晴れと言う気持ちはある。自分の目の前で車線変更したクルマが、流れを遮ることなく華麗なテクニックでそれを行えば、それもまた良し、である。ビジネス、要は消費活動を促すためにつくられる広告。「支持されること」がその使命であるならば、我々は使命を全うしなくてはならない。
せいさく0319と申します。
掲載されている日記を興味深く拝見させていただきました。事後の御連絡となりましたが、当方の記事にリンクをはらせていただき、日記を紹介させていただきました。
リンクをはらせていただいた件について、何か差しさわりがございましたら、その旨、御連絡ください。何分、ブログ初心者なもので、ご容赦ください。
また、よろしければ、今後とも、そちらのサイトを拝見させていただくつもりです。よろしくお願いいたします。
せいさく0319
サイト名 気になるブログ10件
mail:noguchi0319@mail.goo.ne.jp
http://plaza.rakuten.co.jp/kininaruburogu10/
by せいさく0319 (2005-09-04 06:42)
初めまして。
>自分の目の前で車線変更したクルマが、流れを遮ることなく華麗なテクニックでそれを行えば、それもまた良し
こういうときは笑っちゃいます、けど、ちょっと悔しい、だけどいいですね、共感です。
by きりきりととと (2005-09-04 11:46)
＞せいさく０３１９さま、お読みいただきありがとうございます。仕事が忙しくなるとなかなか更新できませんが、また、ご意見などお聞かせください。
＞hyperbomberさま、コメントをありがとうございました。そうですよね、半分苦笑い＆独り言「ちぇっ」、なんて言いながら納得してしまうじぶん…。人間は不思議ですね。
by もりけん (2005-09-04 12:28)