SSブログ

一流クラブへ [雑感]

一流クラブへ、行ってきた。いや、正確には取引先の社長さんが

連れて行ってくれた。所謂、財界の方々の社交場として活用される

店だ。もちろん、名前は知っているけれど、きっと死ぬまで行く

ことはないだろうな、と思っていた店だった。

 

その日も店の前には黒い高級車がずらりと並んでいた。つまり、

運転手付きの車で移動する人たちのための店である、ということだ。

 

バブルの頃には、よく「クラブ」と名の付く店に行っていた。

行きたかったわけではないが、行くことが何だか当たり前のような

時期だったからだ。

 

しかし、その店は、私の知っているようなクラブとは全く違う

店だった。正直、好奇心だけで「見たい」と思っていたのだが、

行って、見ることができて、よかった、と思った。

 

その時の私のスタイルは、コッパンにギンガムチェックのシャツ。

いっしょに行ったデザイナーとフォトグラファーも同じように

カジュアルなスタイル。その店では、おそらく随分浮いていたこと

だろう。

 

明るくて、決して華美ではない空間。こんな言い方は失礼かも知れ

ないけれど、ごくふつうの顔立ちをした薄化粧の女性たち。つまり

ここは、異性としての女性ではなく、役割の適性として選択された

女性、が仕事をするところなのだ。

 

甲斐甲斐しく働く女性は、男性の幼児性を誘発する。但しそれは、

この店の客筋から想像するに「甘える」のではなく、限りなく

「攻める」という言葉に近い。簡単に言うなら「いいかっこをする」

という、いい意味での幼児性だと思う。

 

振り返ってみれば、その「いいかっこをする」男たちが減ってきて

から、この国の独自性は失われていったような気がする。とは言え、

私はこの店に顔を出す人々が、すべてそういう類の人々だとは、

もちろん思ってはいない。

 

お金を、地位を、名声を、得た後に、改めてそれらをもういちど

客観視し、そして対峙して、自らを見つめることができる人でなく

ては「いいかっこをする」人にはなれないように思う。

 

手に入れたよろこびは、瞬く間に色あせる。1億より、2億の方が

偉い、というパラドックスや呪縛に捕らわれる。けれどもそんなこと

ではなく、得たものをどんな形に加工していくかで、その輝きは

持続する。

 

そのお金で、その地位で、その名声で、どれだけ人に優しくなれる

のか…。

 

おそらくもう二度とその店に行くことはないだろう。私の人生には

全く関係のない世界…。素晴らしいワインを手に入れても、私には

ガラスのコップしか持ち合わせがない。さらにはそれをじっくりと

味わう舌さえも。

 

楽しくも、有意義な時間を、K社長、ありがとうございました。


nice!(9)  コメント(6) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 9

コメント 6

okko

いつの間にか、金銭感覚、価値判断が鈍ってきてしまうのでしょう。そういう人たち、軽蔑します。最後はどうなるのでしょうね。
by okko (2009-06-05 10:31) 

aia

男性の「いいかっこをする」が「幼児性」であるというもりけんさんの説になるほどと思いました。
男性の「いいかっこ」が、カードの色がどうしたとかそういう薄っぺらというか、あまり面白くないベクトルに行ってしまうと、私はテンションが下がるのですが、素敵な「いいかっこ」つけというのも世の中にはきっとあるのでしょうね。
by aia (2009-06-05 14:04) 

もりけん

okkoさん、
そうですね…。私は決してそういう世界を否定はしませんが、興味はありませんね。いくら高級ブランドの
商品であっても、私はほしいとは思わない。(いえ、たまにはありますが…)変な話、ただの自慢話にしか
聞こえないことも…。(うらやましくないけど)でもでも、本当に「かっこいい人」も、そういうお店には
みえるんだと勝手に思っていますけど。どうなんでしょう?


aiaさん、
そういう話を表層的な現象として聞いている分には「へー、すごいんだー!」ですが、よーく、考えて
みれば、一晩で(否、わずかな時間で)ン万円ものお金を使ってしまうことに、私は抵抗があります。
ただ、私には分からないだけで、きっと十分にその価値がある世界なんでしょうね。それは、私には
永遠に理解不能なことだと思います。


by もりけん (2009-06-05 18:21) 

engrid

ごくふつうの顔立ちをした薄化粧の女性
足を踏み入れることはないでしょうが、
きっと 素敵な女性でしょうね、
その女性に、引けを取らない殿方がみえればいいのですよね

by engrid (2009-06-06 17:43) 

ばくはつごろう

お疲れ様でした。
by ばくはつごろう (2009-06-07 07:04) 

もりけん

engridさん、
そうですね、そういう女性たち。私のように下世話な人間にはもの足りませんが?財界の方とかには、
きっとそれがいいんでしょうね。凝った料理は食べ過ぎているから、たまにはシンプルな野菜サラダが
いいのかな?


ごろうちゃん、
お久しぶりです。いやー、しばらく忙しかったです。今回は、ホント、自分ではどういう風に理解した
もんだか、って感じで…。いいのかも、いや、あんまり…?って、あまりに価値観が違っていて、未だに
よく分かりません。
by もりけん (2009-06-08 15:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。