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今年も原爆について。 [戦争・原爆・日本人]

今年も8月6日と9日がやってきた。毎年この頃には決まって原爆に
ついての私見をこのブログに書いてきた。そして今年もまた、書く
ことにした。

今年もいくつかのドキュメンタリー番組を見た。どこかの民放で見たが、
タレントが出てきて被爆地で微笑む少女のその後を追う、みたいな
全く何を伝えたいのか分からないような番組もあった。

以前オンエアされた番組が再放送されたものも見た。その中でも特に
多かったのは、原爆を投下したB−29に乗っていたアメリカ軍人の
話や、東京大空襲の際に焼夷弾を投下したB−29に乗っていた乗組員
の話だ。

「あれは間違っていなかった」と今でも主張する人もいれば「間違いだ
った」と後悔していると語る人もいた。それはもちろん、人それぞれだ。

誰だってよろこんで人を殺したい、などと思う人はそうそういないはず
だから、それぞれには自分たちを納得させるための理由は持っている。
「あれ以上の犠牲者を出さないために」これが、間違っていなかった、
と主張する人たちの言い分だ。そして「その後の地上の様子などを
後から知って」やはり間違っていたと思う、という人たちはそのように
言っていた。

このことはつまり、あの原爆でさえ「間違いではなかった」いや、言葉を
変えるのであれば「正しい行為だった」「正義のためであった」という
アメリカ人が今でも数多くいるということに他ならない。

「正義」。これはアメリカがよく口にする言葉だ。枢軸国に対して連合国の
盟主であるアメリカ帝国主義が、その義憤を雷として容赦することなく
与えることによって世界は平和を謳歌できるのだと。

また、アメリカの人々はこういう表現もよく使っていた。「日本人は残虐
だから…」と。あの…、私は思う。どこの国でも、いかなる時代でも、
ひとたび国と国が戦えば、残虐な行為をすることに何の逡巡も覚えない人は
いくらでもいたのではないかい?と。

誰かが、あるいは、あの国が、残虐だから、という答えは答えになって
いない、と私は思う。それこそ「大同小異」だ。今の、あるいは遡って
大戦当時の日本人が、それほど際だって残忍で人間として全く憐憫の情
なども持ち合わせていない人種であったとは私には思えない。

では、中国が韓国にしてきたことは、どうであったのか?アメリカや
ヨーロッパが黒人にしてきたことはどうなのか?歴史の中で繰り返されて
きた、そういった「残酷」で、人権を軽んじた「差別」などはどうなのさ、
と。そんなことはいくらでもあるし、つい最近では、同じ民族でありながら
対立する某国で、罪のない民間人の女性が射殺されている。

大量であるとか、殺戮方が、とか、そんなことは人間という生きものが
あのカルト集団によって多くのエリートたちが洗脳されてしまう事実を
目の当たりにすれば、いくらでもあり得ることだと思う。

ところで、実は何が気に入らないかと言えば、その「正義面」がいや
なのさ。あの国は、いつだってそうだ。もちろん、そのことに気が付いて
いる人も多数いるし、あの国の人たちが悪いわけでは、これっぽっちも
ない。あの国が、いつしか思い込んでしまった間違った正義感が、悪い
のだと、思う。

そりゃ私がアングロサクソンならだよ、黄色い肌をした奴らが白い肌を
した人間たちと同じように「植民地」なんてものをつくりはじめたら、
腹立たしく思うだろうさ。自分たちより明らかに下等だと思っていた
連中が、ロシアの艦隊を破ってしまうなんてことは…。

しかもアジアの国々はアジアの盟主である日本が統治するべきだ。なんて
ふざけたことを言い出したら、絶対に潰してやろうと思うだろう。許せ
ない!だって、あいつら肌が黄色いんだぜ、そんな奴に…。石油なんて
供給してやるもんかい。

3月10日の東京大空襲だって、日本が前に重慶で絨毯爆撃をしたんだから、
やられて当然…。おまけに何度も言うけど「日本人は残虐だから」他の国
でも酷いことをしてきているから、仕方がないって。こいつは「正義」さ。

くどいけれど、もう一度言おうかな。どこの国もいっしょだって。あの国
だけが「正義」という言葉を臆面もなく使うけれど、どこもみんな、いつ
だって「正しいと思い込まされて」厭々やってたんだよ。ホントはさ。

ドイツはヒトラーという狂信的な大悪人がいたから、ある意味戦後の精算は
彼をスケープゴートにしてしまえばうまくいく。

戦後の日本は、きちんと戦争責任を取ることなく、今でもアジアの諸国から
悪人扱いされている。ちょっと待って。敗戦国って責任を免除されるんじゃ、
なかったっけ?

日本の戦後は、やっぱりおかしい。みんなマクドナルドをよろこんで食べて
いる!何かしてもらってもお礼も言わないし、電車の中で若い女性が化粧を
している。

最後に一言。以前から不思議に思っていたこと。どうして、日本は原爆を
落とされて、あんなに酷い目にあったのに、その謝罪や補償をアメリカに
求めないのか?在日韓国人も原爆症になったのは、日本が戦争を始めたから、
日本が悪いって言うけれど、原爆落としたのはどこの国なんだろうって。

私は誤ったものの見方をしているのかもしれない。でも、原爆が落とさ
れて、それが「正義」になった時から、明らかな過ちを何かとすり替えて
弁解する日本人がふえたような気がする。「なぜ、そんなことをするんだ?」
「だって、他の人もやっているから」なるほど、その行為は間違っては
いないんだ…。ひょっとして、それがGHQと我が国が目指した民主教育
かもしれない。納得。民主主義万歳!
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sequenz

森健さん
過激に書かれてますね、
森健さんの意見に共感できます。
しかし日本はこれからどうなってしまうのでしょうね。
僕が見た今日の光景です。
高速のPAで身体障害者用の駐車場に
ミニバン
ステッカーは付いてません
明らかに健常者の家族連れ
その車が出た後
また、ミニバン
こちらも乗っていたのは
前者と同じ感じ
若いアベックなら
「馬鹿なやつら」と済ませますが
子供連れは子供の教育上
どうかと思ってしまいます。
そんな子供が大人になり...
本当にこの国どうしちゃったんでしょうか?
「自分さえ良ければ」が増えすぎています。

by sequenz (2008-08-12 23:54) 

めぎ

この論調は、ドイツで原爆が話題になるときのと全く同じですよ。
無条件降伏のシナリオを作った上で他の大国を牽制して生体実験のように原爆落としたりするのは、行き過ぎだ、と。今の言葉で言えば、これこそがテロだ、と。
日本にいたときにそういう言い方を聞いたことがなかったので、ドイツの人たちからそういわれたときにびっくりしたものでした。
ドイツはドイツで、とんでもない生体実験と大量虐殺を行った国ですから、テロ行為というのがどういうものであるか知っている。ドイツとアメリカは白人同士ですし、ヨーロッパから見ればアメリカは歴史のない新しい国でしかないので、深層心理としては同等より下に見ている節があります。だから、原爆投下はテロだとハッキリ言えるんでしょう。
で、よく聞かれるんですよ。原爆落とされたのに、どうしてアメリカのあとをついて行ってるの?と。いやあ、これが一番困る質問です・・・
by めぎ (2008-08-13 17:25) 

カミノです!

今年もありがとうございます!
毎年、ちゃんと8月6日と9日と15日を意識してくれている人がいる。
そのシンプルな事が私は嬉しいです。
そして、今回のように怒りに震えるもりけんさんの文面も、私は大好きであります。

先日TVで、宮崎駿氏が言ってました。
「今のおじいちゃん、おばあちゃん世代の上の世代から日本はおかしくなっている。」
その話で、私はまさに、日本が戦争で負けた時からじゃないかとピンときました。

自分の軸をブレさせないために、自分の行いを信じることは大切です。でも、その自分の姿を俯瞰的に見て、後戻りする勇気はもっと大切だと思います。
そして、そういう人間でありたいと私自身、常々思います。




by カミノです! (2008-08-13 23:32) 

engrid

否定されることが嫌いで怖いから
とりあえずは無難なところで手を打つ
・・・でも そうでもないひともたくさんいますよね
知らんふりはしてるけれど、いざとなったら声を上げたい
by engrid (2008-08-14 22:44) 

mompeli

日本にいるとそこまで感じなかったのですが こちらにきてここがイギリスの国だって事もあるかも知れませんが 日本って思っていた以上にアメリカにどっぷりなのだなと。ワタシもこの時期になると色々考えてしまいます。今ここにこうしているニホンジンの岐路は一体どこにあったのか。遡れば江戸から明治になったとき あまりにもいろんなものがそれまで外に閉じていたこの国に流れ込んできた。その当時の人たちはかなりあたふたしたのでしょうが そこで急ぎすぎていろんなミスを犯してしまったのではなかろうかと。新しい体制を確立するために当時のトップは神と仏を強引に引き離そうとした。でもその結果 仏はおろか神もなくしてしまいました。ニホンジンの精神は「神」を取り違えてしまってからおかしなことになってきているんじゃないかと思うのです。そして今 日本の育んできた文化は本当に素晴らしいモノだと思うのに それを大切にするココロがどんどんなくなってきている。もっと日本という国を自覚する。そしてもう少し日本人としての誇りをもつ そんなことをコドモに話すこと出来るオトナもなかなかいないような気がします。……なんてなんかまとまりのない話ですみません。
by mompeli (2008-08-15 18:30) 

g-life

中途半端な民主主義を振りかざされると何が本当に大切なものなのか
わからなくなりそうです。
「正義」ということも、自分の中の「正義」を毎日の生活のなかで
ちゃんと筋を通して生きているのか。大きな「国」単位の正義を考えるには自分の足元から見直さないといけないな、と真摯な気持ちになりました。ヒトは弱いのですぐに流されてしまうところがあります。

by g-life (2008-08-17 00:04) 

みかまん

どこの国でも一緒、まさしく私もそう思います。
夏休みに広島に行った末っ子、アメリカ生まれのアメリカ育ち。
日本人、韓国人、中国人の友人達と原爆ドームに行った彼らは、言葉も無く沈黙し、しばらく言葉が出なかったと。でもそこで会った日本の若者達は騒がしく、何かよく分かっていなかった様子に見えたとも。
アメリカのふりかざす正義..勿論それに異を唱えるアメリカの人達もいるわけで..
何をどう伝えていくかは難しい、大切な事。
教育と言うものの怖さを知り、慎重さを身につけ、勇気を持ち..
もりけんさんの記事に触発されました。



by みかまん (2008-08-17 03:23) 

もりけん

みなさん、本当に返信が遅くてすいません。

sequenzさん、
身障者用駐車場も、あきらかにそうではないと思われる人が平気で
車を駐めていきますよね。ま、ひょっとしたら本当に身体が不自由
なのかな?と思って、注意もしにくいですしね。また、それをいい
ことに駐めていく。困ったもんです…。


めぎちゃん、
きっとドイツの方々から見れば、日本の戦後の復興は不思議では
ないと思いますが、日本人の価値観の移り変わりには驚いている
のではないでしょうか。原爆を落とされた、ということは事実です
から、アメリカに対してその行為についてしっかり意見を述べる
べきではなかったのでは?全面降伏したから、ということとは全く
別問題ですよね、それは。


カミノです!さん、
意識していると、毎年、少しずつですが知識が増えてきて、書いて
みようかな、と思うことが見つかるようです。幸いなことに、この
ブログにはおかしな粘着系がいないので、比較的自由に意見を述べる
ことができるので、ありがたいです。


engridさん、
そうですね、意見を言わないより、意見を持たない、ことの怖さが
この国には蔓延しています。


mompeliちゃん、
海外にいても日本人は日本人なのかな?なんて時々考えます。日本人
らしさ、ってどういうことなんだろうって?江戸末期に日本にやって
きた外国人は、日本人のものの見方や容姿や服装、暮らし方、芸術、
工芸品、などを見て、どう感じたのでしょう?


g-lifeさん、
正義、という言葉、めっきり聞かなくなりましたね。子どもの頃には
しょっちゅう「正義の味方」というフレーズを耳にしたような気が…。
きっと、正義はか格好悪くなったんです。電車の中で堂々とシルバー
シートに座り続け、お年寄りなどに全く席を譲らない若者に慣れて
しまい、誰も注意できない。注意するなんて格好悪いから…。


みかまんさん、
みかまんさんのお子さんが広島に行かれた時のお話。それが今の日本
を物語っているように思います。言うことは簡単でも、実行すること
は難しいことが世の中にはいっぱいあると思います。ただ、少なくとも、
絶対に知るべきことはあるはずだと思います。それを知って、考え、
もし、それに意見を述べたり行動を起こすことにつながれば、また
日本も変わることができるのかも知れないですね。
by もりけん (2008-08-27 16:04) 

TG

香港在住です。欧米の事情や意見にも詳しいです。

ご意見のほどんどに賛成ですが、一つだけ、「広島広島」とその残酷さを語る日本人のかたに、南京大虐殺と中国侵略をどうおもっていらっしゃるかお聞きしたいです。日本の原爆に関する記事を読んでいると、被害者であることの訴えが一方に強く、ま、それは「アメリカがいくらいってもききえれてくれないから」というのと「日本国民総反省」的な戦後の教育の反動からきているというのもわかりますが、あまりにもことの自体を「両面」からみようという意見がなさすぎます、というか、まったくないといっても過言ではない?
恐ろしいのは、日本は間違ってない、間違っているのはアメリカだけだという意見です。

アメリカの意見を聞いているとおっしゃられている通りの偽善者の意見が目立ちます。
でもそれは日本人だってまったく一緒です。偽善な意見が多いのです。
そういう意味でもアメリカも日本も中国もどこも同じです。(どの国民が残酷かっていえないっていうご意見と同じですね)

日本人は、そういうことを包括して広島という問題を考えるべきです。
でもこういうことをいうと、たいがいの日本人は「お前は中国びいきだ」そしてたいがいの中国人は「おまえは日本びいきだ」で片付けてしまいます。つまり皆、誰も、人を責めるのは好きでも自分の反省点を振り返りたくないということですね、それは同じく広島の原爆問題にもみられます。

そうなると、これは人類の問題だと思うのですね。
わたしたち日本人は「被爆国」という経験があります。
被爆国の人だから正しいことが言えるわけでもないのです。被爆国というチャンスというと聞こえが悪いですが、もう起こったことについてわたしたちはもっと真剣に「両側」からものを見つめる時季がきてもよいのではないかとも思います。

いかがですか?


by TG (2009-08-13 15:57) 

もりけん

TGさん、
気持ちのこもったご意見に感謝します。ちなみに南京大虐殺のことなどは、
こちら  http://moriken-life.blog.so-net.ne.jp/2005-08-09  でも書いておりますが、
全く弁解の余地はない、と考えています。罪もない人をどんなことがあろうとも殺めることに
ついては、あきらかに間違った行為だと思います。ただし、中国から南京大虐殺についての糾弾を
され続けることについては違和感を感じます。戦争という特殊な環境下においてなされた残虐行為は
数知れずあるはずです。中国が韓国に行ってきた侵略と、数知れず行われてきた蛮行も、その中に
含まれることでしょう。そしてその違和感とは何か、と言えば(まぁどんどん犠牲者の総数がふえて
いくことはさておき)そのような日本の行為についての(これからの両国の交流を円滑なものにする
ための)清算を求めるのではなく、補償金の要求であったり、国家へのナショナリズム高揚を目的と
しているように見えてしまうからに他ならないからです。私がなぜ原爆についてこうしてブログで
述べるかと言えば、戦後きちんとあの戦争と対峙して清算を考えた時の最終章として、日本は原爆投下に
ついての意見と、戦争そのものについての結論を、アメリカ及び、世界中の人々に報告する義務がある
からだと思うのです。またさらに「原爆」問題は、未だに現在進行形だと思うからです。被害の甚大さは
言うに及ばず、その真実を伝える役割をこの日本が行わなければ、どこの国の人々ができるのか、と。
TGさんがおっしゃるように「両側」からの視点を持つこと、それが重要です。中国も韓国も、全く同じです。
いつまでも恨みやしこりで発言をするのではなく、まさしく「人類」として意見交換ができるようになれば、
きっと違和感を感じることなく多くのことを語り合えるようになるのではないでしょうか。

by もりけん (2009-08-13 17:43) 

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