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♪時にはコピーライターのように 5 [広告]

あらためて振り返れば、あの頃は忙しかったけれども充実していたような気がします。つくっていたCMも企画内容そのものはあまり良くなかったでしょうが、つくる回数が増えていくと、だんだんポイントみたいなことが分かってきて、途中からはまぁまぁのものが出来たかな、なんて思っています。

また、この頃はほとんど賞に応募もしませんでした。賞のためにスタッフ名やらなんやかやと書かなくてはいけない応募用紙も嫌だったし、ましてや作品だってそれほどいいものだとは、自分で思えなかったし…。今思えば、いちばん充実していたあの頃の作品を出品していれば、ひょとしたら、私もそこそこの知名度のコピーライターになれたかも知れません。(そういうことにしておきましょう)

いや、しかし、私のコピーは正直「変」だったかも。やっぱり賞には入らなかったでしょう。例えば流通(ファッションビル)のイメージポスターのコピー。→「私は正しく訛っていたい。」とかバーゲンの時のコピー。→「希望と現実が日食する日。」クリスマスセールの時のコピー→「誕生日以外はクリスマスの勝ち。」ね、かなり変ですよね。

今もかなり変なコピーを書いています。ある会社の会社案内のために書いたコピーは、けっこう「変」です。もし、興味があればコメント欄にアップします。(すんごい熱いコピーなので、ちょい恥ずかしいので迷ってます…)

余談ですが、私がそのカメラ店の担当を降板した後に、違うクリエーターが東京の有名な演出を起用してCMを制作しました。コマフォトとかいろいろな広告雑誌などで紹介されていました。私の時と違って、かなりの制作予算をかけてつくったようです。しかし、私はそのCMは好きになれませんでした。私は「お馬鹿」なCMがそのカメラ店には合っていると思っていました。すべからく商人は「お馬鹿」が望ましい。賢く見えたら、いかん、とね。

結局、どうにもブラックで(私には)後味の悪いそのCMはやがて消え、ふと気が付くと「お馬鹿」な路線に戻っていました。そしてその路線は、私と気の合う代理店の後輩が再継承してくれたものでした。カメラ店のCMが妙に受けていたあの頃、私は実は大それたことを考えていました。東京でもない、大阪でもない、名古屋らしい広告(CM)が出来ないだろうかと…。萌芽はあったような気がしたのですが…。

あれから20年近く経った、近頃の名古屋のコピーライターは、CMプランナーは、本当に優秀です。東京と比較しても引けを取らない人がたくさんいます。10年一昔とは言いますが、20年二昔の今、この地の若いクリエータの活躍を楽しみに、そして少し羨望の眼差しで見つめている私がいます。    (終わりました)


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めぎ

熱いコピーの熱気を浴びてみたい怖いもの見たさのめぎです♪
マウスはなんにでも興味を持ちます。
正しく訛っているかしら、私のファッション。
わたし、ドイツのマウスなのに、狩野永徳のハンカチをバンダナ風に巻いておりますの。
希望と現実の日食で、舶来品の高いチーズが買えるかしら♪
なあんて、イメージは膨らむばかりです。
また、色々教えてくださいね。
by めぎ (2007-06-26 05:59) 

もん

>すべからく商人は「お馬鹿」が望ましい
至言。
あんた、お偉く賢く見せようとしちゃ、ダメよん、とは、
やはり尊敬していた某女性経営者の言。
by もん (2007-06-26 06:39) 

>すべからく商人は「お馬鹿」が望ましい
ワタシもここに一票~
いかにおバカを貫けるか いかにおバカにまきこめるか
なあんてね☆
こちらは今日は雨雨雨… めぐみの雨なので文句はいえませんが 
かなりさぶいですぅ~ ぜひぜひあっつ~いコピーであたためてください……
by (2007-06-26 08:14) 

きりきりととと

>商人は「お馬鹿」が望ましい

そうかなとも思いますが、自分の尊敬するデヴィッド・オグルビーは「ピエロからモノを買うやつはいない」とも言っています。

いずれにしろ士農工商代理店ですねw
by きりきりととと (2007-06-26 09:37) 

tukamoto

「お馬鹿」は技術を超えるときもありますね。・・・なんて広告のことをよく分からないうちにこういうのもおかしいですが、私の専攻する情報学では「情報」といってもハードウェアに価値があるのではなくソフトウェアとかコンテンツに価値を見出しています。なんだか似ているような・・・気がします。
by tukamoto (2007-06-26 10:24) 

みかまん

なるほど、なるほど..
もりけんさんのコピーも面白く拝見しました。
もりけんさんの生き方が、もりけんさんのコピーそのままなんだなって気がしました。hyperbomberさんの「士農工商代理店」に思わず、家の息子は
一番下なんだって思っちゃいました。笑
by みかまん (2007-06-27 00:41) 

もりけん

めぎちゃん、
コピーも本当はその背景を説明しなくては分からないですよね。訛っていたい…、というコピーは都心から離れた、例えば東京で言うなら吉祥寺みたいなところにあるファッションビルなんです。で、所謂当時のDCブランド、みたいなブティックは入店していないビルのために書いたコピーなんです。これは某有名コピーライターから絶賛されましたが、他の人にはただの訳の分からないコピー、としか写らなかったと思います。


もんちゃん、
私が商人と言っているのは、社会的にさほど重要な使命を担っているわけではないご商売の方々です。カメラ屋も、バー、も、そうだと思います。(その一つがなくなっても、どうってことのない)ひょっとすると、それは芸術や音楽だってそうかもしれません。でも、必要なもの(業種)ですよね。(話が長くなりそうなのでこの辺で)


mompeliちゃん、
どうして、お馬鹿がいいのか?私が講義で言うのは、商売でいちばんいかんのは「こいつ、騙したりしてないだろうな?」って思われることですよ、ってことなんです。お馬鹿は知恵が(悪知恵が)働かないから、客も高見に立てて気分がいいし、ましてやぼったくるなんてできないだろう。と思わせなきゃね、って。


hyperbomberさん、
アメリカは、きっとそうだと思います。CMを見ていても、日本とは表現が全然違いますもんね。(私には意味が分からないものが多い)味噌汁、タタミ、音を立ててかき込む蕎麦、あるいは銭湯、など日本にしかないもの(ある意味文化?)をかの国の方々に理解してもらうことは難しいと思います。また、CMにも、日本独自の表現があるし、ビジネス観にもおそらく違いがあるように思います。正しく、商人はお馬鹿がいい、というのは日本的な考え方なんでしょうね。ちなみに、このカメラ屋にマーケティング、なんて言っても絶対に聞きはしません。正直、hyperbomberさんが担当していらっしゃるクライアントとは、全然レベル?が違いますもん。(うらやましいっす)


tsukamotoくん、
いいこと言ってくれますね!正しいかどうかの判断はお任せしますが、例えば、奥さんにしたい女性と、彼女にしたい女性はいっしょですか?なんてことと私は同じだと思ってしまうのです。奥さんはしっかりした人がいい。でも、彼女(恋人)は、ちょっとお馬鹿さんでも…(失礼)美人で聡明そうな女性、あるいは堅物で冗談も通用しない女性よりは、ちょっとお顔は庶民的でも、気軽に声をかけられる女性の方がもてる。で、(カメラ屋も)そういう風に見えれば、いいのかな、ってことかな。(あ、話が違うかな、やっぱり)


みかまんさん、
士農工商代理店そのまた下の制作会社フリーランスと実は続くのです…。ですから私は、最も身分が低い!!!でも、実際には本編の話ではありませんが、馬鹿な振りをしてお得意のわがままを聞いているように見せながら、実際にはしっかりと利益を上げていたりするんですから、代理店は侮れないですよ。ホイチョイプロダクションにその姿がよく描かれていますよね。
by もりけん (2007-06-27 14:24) 

きりきりととと

「表現が違う」、と、つい最近まで自分もそう信じていました。
だけど最近思うことがありました、広告というのは商品なりサービスの「本質」を正確に伝えることこそ、大切なんじゃないかと言うことです。

最近、一から改めて考え直しています。

悪魔のように繊細に天使のように大胆に頑張りましょう。
by きりきりととと (2007-06-27 23:36) 

もりけん

hyperbomberさん、
私はやっぱり、hyperbombermさんにすこぶる好感を持ちます。誠に持って同感です。その通りですね。ありがとうございます、私なりに頑張ります。
by もりけん (2007-06-28 02:56) 

tsukamoto

hyperbomber さんもおっしゃるように本質を正確に伝えることができたら広告が信頼されますね。それって本望ですね!モテて信頼される広告があったらいいですね!「人望」みたいな・・・。
by tsukamoto (2007-06-29 21:57) 

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