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親愛なるSに捧ぐ [友だち]

今月の1月5日、30年つきあってきた友人が死んだ。1月1日の日に心筋梗塞で入院、5日の日に帰らぬ人となった。享年49歳、私より3歳年下の彼は、私が今まで出会った人間の中で、いちばん面白い奴だった。

5日の夜、彼の家に行って骸を見た瞬間、堰を切ったように涙が溢れた。6日の通夜もけっこう泣いた。7日の告別式も少し泣いた。亡くなった、という連絡を聞いたのは取引先の新年会会場だった。12時からの新年会は名古屋の一流ホテルで開かれていた。まだ正月休みだから、ということで仕事の電話もかかってこないだろう思い、携帯電話の電源を入れたのは新年会が始まってからだった。延べ何人の知り合いから電話があったのだろうか?かなりの人数の人から電話があった。新年会の会場で私は目を潤ませていた。

暮れに電話で話したのが彼との最後の会話になった。頼み事をして、また来年いっしょに
飲もうと言って電話を切った。あいつは死んでしまった。私は生きている。どういうことなんだろう?答えは出ない…。伸哉、さようなら。

伸哉は私が勤めていた広告代理店にいた。私が紹介して入社したのだが、それから26年、あいつは勤め続けていた。最初の忘年会では奴と一緒に女装して「恋のフーガ」を歌った。以来、宴会の司会ではいつもコンビを組んだ。私もあいつも宴会が大好きだったから。

思い出話は尽きない。それをブログに書くことが私にとってどういう意味を持つのかは分からない。でも、このブログを読んでくれている人に私は伝えたい。私には素晴らしい友人がいたということを。そして彼を思う存分自慢したい。

火葬場でついに最後の別れがやってきた時、あいつの嫁さんはこう叫んだ。「伸哉さん、またね!」私はこころの中でつぶやいた。「伸哉、ありがとう…」

寺山修司は「さよならだけが人生さ」と言った。私は。


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きりきりととと

ぼくも3年前に後輩の同僚を亡くしました。
お気持ち察するに余ります。
by きりきりととと (2007-01-29 08:05) 

もりけん

hyperbomberさん、
コメントありがとうございます。そして、ごくごく不定期にしか書いていないブログを読んでいただいて、うれしく思います。いつもhyperbomberさんのパワフルなご活躍ぶりを楽しみにしております。
by もりけん (2007-01-29 13:44) 

カミノです

突然やってくる「死」という別れの形に、私達は恐れ、おののいてしまうものですよね・・・。もりけんさんのお気持ちお察しします。
同じ時間・年数をすごした分だけ血を超え、自分にとってただの「他人」という枠で片付けられなくなった存在の人との別れは、なんともいえないですよね。
ただ、Sさんと会い共にすごした日々は、もりけんさんの中にちゃんと根づいていて、Sさんにとっても、もりけんさんの思い・気持ちというものはちゃんと伝わっていると思います。勿論、姿無き今も・・・・。
死がなければ生もなく、生がなければ死もない。古来より生と死が繰り返されて今の私達がある・・・・。

何を書いているか私もよく分からなくなってきましたが、どうしても、もりけんさんに一言声をかけたく書き込みました。
もりけんさんのお気持ちが落ち着き、Sさんのことを穏やかに考えられる日が早くくることを、遠い地よりお祈りしています。
by カミノです (2007-02-05 00:16) 

YSの友人です。

彼は、私にとってもすばらしい友人でした。いえ、今も・・・。
暮れの電話、「鍼を打ったら少し楽になった。疲れだと思う。」
「年末年始、とにかくゆっくり身体を休めて・・・!」
年が明けたら必ず会おうと約束した。
それが最後の会話だった。

今更ながら12月中旬以降、彼は『死』に対して漠とした恐れを抱いていた・・・と思う。
しかし目の前にある仕事をおざなりにはできず、その恐れにからめ取られないように何とか打ち消しながら年末を乗り越えようとしていた。
年末を乗り越えれば何とかなる・・・?確かに越えはしたけれど・・・。

くやしい・・・。せつない・・・。

あんなに面白くて鋭い人を私は他に知らない。そして少しばかり屈折した優しさも彼らしかった。

早すぎる死に向かって疾走していった彼に、まだまだ言いたかったこと聞きたかったことは山ほどあるけれど、いつかきっとまた会えると信じている。
風になり、雪になり、陽光となってみんなを見守っていてほしい。
ありがとう、楽しい日々だったと伝えたい。
by YSの友人です。 (2007-02-05 11:28) 

もりけん

カミノさん、
ごめんなさい、私らしからぬことを書いてしまいました。でも、なんとなくみんなに宣言してみたかったんですね。だって、あいつが天国でこのブログを読んでくれるかも知れないじゃないですか。その時に自分ことを大好きでいてくれた奴(私)がちゃんといたって、伝えておかなきゃって思ったんです。


YSの友人さん、
ホント、あいつはせっかちだったよね。で、頭もよくて、切れ者だったしね。思い出は尽きません。17年前にグアムにふたりで行った(半分仕事)時の思い出は、奴が死んじゃうまでは楽しい思い出でしたが、今は半分切なくてちょっと寂しくなってしまう思い出です。
by もりけん (2007-02-06 02:20) 

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