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WBCで思い出した好きな言葉 [日本人]

大好きな言葉がある。それは(誰でも知っている言葉だとは思うが…)「粗にして野だが卑ではない」という、あの有名な言葉である。もちろん、これはその昔の国鉄総裁であった石田禮助の言葉だ。国鉄の総裁になって国会に呼ばれた時に彼が自己紹介を行った。そのときに言った言葉が「粗にして野だが卑ではないつもり」だ。石田は生存中に勲一等叙勲を断り、さらに死後にも同じく勲一等叙勲の申し出があったが、遺族が固辞した。

新渡戸稲造の「武士道」や「硫黄島に死す」の西中佐の話を思い出して、いつも感じることは、日本人のメンタリティーの変化だ。と言って、何も私は右寄りでも何でもない。WBCの報道を見ていて、やたらとイチローのことを武士、と表現しているのが気になったからだ。そもそも日本人とはそういう生き方を善しとする民族ではなかったのか…。いつしか失われていってしまった、日本人としての振るまい方、言い換えるのであれば謙譲を旨として、高い志を持ち、品性正しき生き方を全うする、それを忘れてしまっている人々があまりに多いから、イチローが妙に今回、日本人として以前はごくごく当たり前とされた「気概」を持った日本人に見えた。

『今後、30年くらいは…』と言った彼の発言を挑発と受けとめた韓国。スポーツは美しいものかも知れないけれど、愚かしい戦争を繰り返させないために、国と国とが合法的に戦う場を設けることによって、ナショナリズムを高揚させることは、ある意味必然であると思う。イチローの発言はそういった一面を表現したものだ。つまり許される「粗」である。これから戦いの場に向かう者が発言した言葉として、洗練はされていないが「意気込み」を語るには、その荒々しさが、私には清々しい。

また、再び、韓国に敗れた時に『野球人生で最も屈辱的…』と発言した彼の気持ちも十分に理解できる。ストレートに、人間の持つ野生を生かすスポーツというジャンルに於いて「野」な発言をすることにも何ら問題はない。最も大切なことは「卑に非ず」ということだ。少なくとも彼は、そして、彼らは卑しくはなかった。与えられたチャンスを生かすべく懸命に戦い、素晴らしい結果を手に入れた。それを非難したり皮肉混じりに揶揄する、かの国のメディアには失望を禁じ得ない。準決勝まで進んだことによって兵役免除になった、と言う事実は結局「日本に勝った」から与えられた褒美であるとしか解釈はできない。世界一になってもいないのに、早々とそれが通達されたことに首をかしげる人は多い。どれほどの時間が流れても、彼らにはあくまでも日本は永遠に「敵」でしかないのであろう…。その敵に勝ったから、兵役免除なのだ。これは、悲しいことだ。

今時流行らない…。そんな言葉が聞こえてきそうだが、野球だけではなく、日本人としての誇りとは何か、をもういちど考えてみよう。江戸時代、ヨーロッパの絵描きたちは日本の絵画を見て感動し影響を受けた。明治維新直後、咸臨丸に乗ってアメリカに行った勝海舟たちは、あっという間に船の操舵(航海術)をマスターしてしまい、アメリカ人をびっくりさせた。そして、あれほどの甚大な被害を受けながら戦後、奇跡的な復興を果たした国、それが私たちの国だ。


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コメント 8

みかまん

なるほどと頷きながら読ませていただきました。
もりけんさんの事を全く存じ上げないのに、もりけんさんらしいと感じてしまいました。シノワズリ,,西洋の絵画文学にまで影響を与えた文化、外国のマネを超えて築き上げた日本固有の技術や文明、私自身、自分の国を見直す、振り返ることをしていないと思いました。それにしても今の日本に欠けているのは
「粗にして野だが卑ではない」部分なのかな..
by みかまん (2006-03-23 06:48) 

もりけん

みかまんさん、いつもコメントをいただきありがとうございます。今の日本に欠けているものが「粗にして野だが…」だというのはきっと違うでしょうね…。本当は、自分自身に(氏も育ちも自慢できない)コンプレックスがあって、それでも誇りを持とうじゃないか、と励まされているようで好きな言葉だったのですが、WBCのことも書きたかったので、ついあんな書き方になってしまいました。ちょっと強引でしたね。ところで、今の日本に欠けているものは、と改めて考えれば「志」とか「正義感」、あるいは「品性」といった言葉になるのでしょうか?思うのは、日本人としての精神性(アイデンティティ)が以前(戦前?)とは違うものになっていった、というような気はしますね。うーん、上手く言えません…。例えば「セレブ」という言葉に代表されるような世界観…。で、それえは叶姉妹みたいな人たちなの???みたいな違和感。ミラノに行った時、私の友人が頼まれてグッチの靴を買いに行くというので、グッチブティックに行きました。(面白半分で)当然、ジーパン姿の私も場違いでしょうが、そこには到底その服ではこの店には入れないだろう!そんな勇気は私にはないぞ!といったようないでたちの若い日本女性、及び、若くない日本女性が大挙してビットモカシンの試し履きをしていらっしゃいました。また、ほぼ全員が同じフランスブランドのバッグをお持ちになって…。いえ、似合えばいいんですよ、もちろん。みかまんさんのような方であれば、よくお似合いでしょう。やはり情報操作によって価値判断をしてしまう。雑誌に載っていて流行しているから、私も買う!(似合うかどうかはさておき、持っていること、着ていることが大事みたいな…)それが今の日本人(男性女性を問わず)かも。「ちょい不良オヤジ」???ジロー・ラモさんならOK。尊敬するコピーライターの先輩(故)中島らもさんだったら…。(あ、ダジャレです)
by もりけん (2006-03-23 15:53) 

rapisu

たちい・ふるまい・おこない  を考えて日々を暮らす事
大切な事だと思います。自分を見失わない事も!   
by rapisu (2006-03-23 18:06) 

もりけん

rapisuさん、私の言葉より、rapisuさんの言葉が、全てを言い表しているような気が…。
by もりけん (2006-03-24 01:46) 

チョコパイ

もりけんさん こんにちは!
名古屋人なんですね? 私の勘違いじゃなければ
ロック喫茶の「アトム」によくいらしてませんでした?
間違ってたらごめんなさい
by チョコパイ (2006-03-24 18:15) 

もりけん

チョコパイさん、今を去ること30数年前に「アトム」に行っていました。ていうか、マスター(佐藤さん)といっしょに店を造るのも手伝いました。で、バイトもしていました。ぎょえ〜!!チョコパイさん…、ということは30数年前の知り合いですよね…。うわー、気になります。メールください。プロフィールにメールアドレスが紹介されています。
by もりけん (2006-03-25 03:07) 

チョコパイ

やっぱりそうでしたか! 名乗るほどの者じゃございません・・・・(汗)
その当時 私友達とたまに「アトム」に行っておりました。
たまたまソネットを開けてたまたまお見かけして、そうかな・・・っと
なつかしい青春の1ページでございました。
また、遊びに来ますね!
by チョコパイ (2006-03-25 14:40) 

もりけん

チョコパイさん…。そうですか。いやー、気になりますねぇ。ひょっとして、京都の大学へ行かれた方ですか?……?あまり詮索するのはご迷惑かも知れませんね、すいません。
by もりけん (2006-03-25 23:38) 

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